Basic小史

 Basic は1964 年 アメリカ ダートマス大学で,ケメニー とカーツによって大型計算機のTSS端末での学生教育用 に開発されたプログラム言語です。この言語は, 当時良く使われていたFORTRANよりもっと使いやすく,しかも必要なことはすべてできる,初心者のための言語ということで

Beginner's All purpose Symbolic Instruction Code
BASIC  

名付けられました。  この当初の開発目的からBasic は次のような特徴をもっています。

 これらの特徴からBasic はダートマス大学で成功を納め次第に知られるようになりました。特にこの3番目の特徴はBasicの普及に大きな役割を果たします。1975年ビル・ゲイツとポール・アレンは,同年 発売されたMITS 社製パーソナルコンピュータAltair8800 のためのBasicインタープリタMBasic (マイクロソフト Basic)を開発しました。


 後にMBasic は多くのパーソナルコンピュータに移植され,爆発的に普及しました。こうしてBasic は初期パーソナルコンピュータの標準言語としての地位を確立しました。

 しかしBasic は元々 パーソナルコンピュータで使用されることが想定されていなかったため,このような普及の過程で,色々な機能の拡張が必要になりました。この拡張はパーソナルコンピュータの性能の向上により,各機種ごとに行なわれる傾向があったため言語規格の違った色々なBasic が登場して互換性がなくなるようになりました。


 このため国際的な基準を作る動きが起こり,1978 年 にはANSI(米国規格協会),ECMA(欧州電子計算機工業会)によって標準化されたBasic「 基本Basic(Minimal Basic)」 が制定され,日本でもこれを基に1982 年 JIS 基本Basic が制定されました。又,1984年 には「基本Basic」がISO(国際標準化機構)規格となりました。

 この「 基本Basic」はグラフィックがない等,現在多くのパーソナルコンピュータで使われているBasic とは幾つかの基本的な違いがあります。そこで, 1991年「基本Basic」を大幅に拡充整理した「Full Basic」の国際規格化が ISOによって成されました。また日本でもそれを基にしたJIS Full BASIC規格も1993年定められました。この系統にある BASIC としては本家ケメニー とカーツによる True Basic,そして日本ではフリーソフト(仮称)十進BASICがあります。

 しかし,現在,パーソナルコンピュータ上で多く利用されているBASIC はこの JIS 規格によるFull BASIC よりも,Microsoft 社によって開発進化してきた, Microsoft 系の BASIC が主流です。

 Microsoft 系の BASICには初期の MBASIC ,現在でも影響を残している N88BASIC,構造化BASIC となった Quick Basic,  そして Windows 上の Visual Basic,そしてその兄弟である Microsoft Office のマクロ言語として採用された VBA(Visual Basic for Applications )があります。Tiny Basic for Windows も基本的にはこの系列に属しています。

 このTiny Basic に物足りなくなったら,Visual Basic に進むのも良いでしょう。